ROAS計算式の正しい使い方|広告運用で成果を測る実践ガイド

ROAS計算式の正しい使い方|広告運用で成果を測る実践ガイド

ROAS計算式の正しい使い方|広告運用で成果を測る実践ガイド

広告運用における成果を測る上で、ROAS(Return On Advertising Spend)は非常に重要な指標です。しかし、単に計算式を知っているだけでは、その真価を発揮できません。本記事では、ROASの正しい使い方を、実践的な視点から解説します。


1. ROASの基本:計算式と意味を理解する

まずは基本の復習です。ROASは「広告費に対して、どれだけの売上が得られたか」を示す指標で、以下の計算式で求められます。

ROAS(%) = 広告経由の売上 / 広告費用 × 100

たとえば、広告費10万円を投じて、売上を50万円得た場合、ROASは500%となります。これは、1円の広告費で5円の売上があったことを意味します。

ROASは、広告の「売上」貢献度を測る指標です。ただし、ROASが高いからといって必ずしも利益が出ているとは限りません。次に説明する「目標ROAS」が、その重要なポイントになります。


2. ROASを「利益」につなげる目標ROASの設定

広告運用で最も重要なのは「利益を出すこと」です。ROASは売上しか見ていないため、利益を考慮に入れる必要があります。そこで役立つのが**「目標ROAS」**です。

目標ROASは、広告費を支払っても利益が残るための最低限のROAS値です。この値を設定するには、粗利率を把握する必要があります。

目標ROAS = 1​ / 粗利率×100

たとえば、粗利率が40%の商品を扱っている場合、目標ROASは以下のように計算されます。

目標ROAS=0.41​×100=250%

この場合、ROASが250%以上でなければ、広告運用が赤字になっている可能性が高いと判断できます。

ポイント:

  • ROAS 100%未満: 広告費が売上を上回っており、赤字です。すぐに運用を見直す必要があります。
  • ROAS 100%〜目標ROAS: 売上はありますが、利益が出ていないか、ごくわずかです。運用改善の余地が大きい状態です。
  • 目標ROAS以上: 広告運用が利益を生み出している状態です。

3. 実践!ROASを広告運用の改善に活かす方法

目標ROASが設定できたら、以下のポイントを参考にROASを改善し、運用を最適化していきましょう。

施策1:ROASが高い広告に予算を集中させる

ROASを算出することで、どの広告、どのキーワード、どのキャンペーンが効率良く売上を上げているかが明確になります。

  • 具体的なアクション:
    • ROASが目標値を上回っているキャンペーン、広告グループ、キーワードに予算をシフトさせましょう。
    • ROASが低い、または赤字になっている配信先は、改善するか停止を検討します。

施策2:ROASとCPAを組み合わせて考える

ROASと併せてCPA(顧客獲得単価)を見ることで、より多角的な分析が可能です。

  • ROASは高いがCPAも高い
    • 獲得単価が高いにもかかわらずROASが高いということは、高単価な商品が売れている、または購入単価が高いことを示しています。効率は良いので、さらにコンバージョンを増やす施策を検討しましょう。
  • ROASは低いがCPAも低い
    • 獲得単価は低いものの、ROASが低いということは、低単価な商品ばかりが売れている可能性があります。より単価の高い商品の購入を促すなど、アップセルやクロスセルを強化する施策を検討しましょう。

施策3:ROASをセグメントで分析する

広告運用は全体で見るだけでなく、細かくセグメント(分割)して分析することで、より深いインサイトが得られます。

  • デバイス別: PCとスマートフォンでROASを比較し、パフォーマンスが悪い方のクリエイティブやLP(ランディングページ)を改善する。
  • 地域別: 特定の地域でROASが低い場合、その地域特有の市場環境や競合状況を分析する。
  • ターゲット層別: 年齢や性別、興味関心などでターゲットを分け、ROASが高い層に合わせた広告を強化する。

まとめ

ROASは、広告運用における「売上」という成果を測る上で、非常に強力な指標です。しかし、ただ計算するだけでなく、粗利率を考慮した目標ROASを設定することが、利益に繋がる運用には欠かせません。

ROASを起点に、効果的な広告への予算配分や、CPAを組み合わせた多角的な分析を行うことで、広告運用の成果を最大化できます。


あなたの広告運用では、ROASのどの部分に課題を感じていますか?

【PR】ROAS最適化ならNeX-Ray

NeX-Ray マーケティングミックスモデリング
アカウント連携をするだけで、SNSや広告などの様々な媒体を一元管理することができます

Read more

【2025年12月】Googleコアアルゴリズムアップデートまとめ

【2025年12月】Googleコアアルゴリズムアップデートまとめ

2025年12月のコアアップデート概要 2025年12月、Googleは年末の大型コアアルゴリズムアップデートを展開しました。このアップデートは検索結果に大きな影響を与え、多くのウェブサイトでランキングの変動が観測されています。 本記事では、今回のアップデートの特徴、影響を受けたサイトの傾向、そして今後取るべき対策について詳しく解説します。 NeX-Ray マーケティングミックスモデリングアカウント連携をするだけで、SNSや広告などの様々な媒体を一元管理することができますNeX-Ray マーケティングミックスモデリング アップデートの展開スケジュール Googleの公式発表によると、2025年12月のコアアップデートは以下のスケジュールで展開されました。 * 開始日:2025年12月9日 * 完了予定:2025年12月23日頃(約2週間) * 対象地域:全世界(全言語) 通常、コアアップデートの完全な展開には2週間程度かかり、その間も順位変動が続くことが一般的です。 今回のアップデートの主な特徴 1. E-E-A-Tの評価基準がさらに厳格化 Experi

By NeX-Ray
広告業界は下請法違反だらけなのか

広告業界は下請法違反だらけなのか

〜2024年度データと法改正から読み解く業界の実態と対策〜 広告業界における下請取引の適正化が、近年大きな注目を集めています。2024年度の公正取引委員会の調査によると、下請法違反の指導・勧告件数は8,251件に上り、違反の内訳では「支払遅延」が59%と最も多く、「支払代金の減額」が16.4%、「買いたたき」が12.9%と続いています。この3項目だけで全体の約9割を占めているのが現状です。 本記事では、広告業界における下請法違反の実態、具体的な違反行為の事例、そして2025年の法改正を踏まえた今後の対策について詳しく解説します。 NeX-Ray マーケティングミックスモデリングアカウント連携をするだけで、SNSや広告などの様々な媒体を一元管理することができますNeX-Ray マーケティングミックスモデリング 1. 下請法とは?広告業界との関係 下請法の基本 下請法(下請代金支払遅延等防止法)は、親事業者と下請事業者の間の取引を公正化し、下請事業者の利益を保護することを目的とした法律です。独占禁止法の「優越的地位の濫用」規制を補完する特別法として位置づけられています。

By NeX-Ray
MCPを活用したマーケティング業務の効率化

MCPを活用したマーケティング業務の効率化

はじめに Model Context Protocol(MCP)は、Anthropicが開発した新しいオープンスタンダードで、AIアシスタントとさまざまなデータソースやツールをシームレスに接続することができます。本記事では、マーケティング担当者がMCPをどのように活用して業務を効率化できるかを、具体的な事例とともに解説します。 NeX-Ray マーケティングミックスモデリングアカウント連携をするだけで、SNSや広告などの様々な媒体を一元管理することができますNeX-Ray マーケティングミックスモデリング MCPとは?マーケティング担当者が知るべき基礎知識 MCPの基本概念 MCPは、AIアシスタント(クライアント)とデータソース(サーバー)を標準化された方法で接続するプロトコルです。これにより、以下のような課題が解決されます: * データサイロの解消:複数のマーケティングツール間でデータを統合 * 手作業の削減:反復的なタスクを自動化 * 意思決定の高速化:リアルタイムデータへのアクセス 従来の課題とMCPによる解決 従来、マーケティング担当者は以下のよう

By NeX-Ray
MauticとClaudeを使って、マーケターがランディングページを大量生産する

MauticとClaudeを使って、マーケターがランディングページを大量生産する

はじめに NeX-Rayという、マーケティングミックスモデリング(MMM)のSaaSプラットフォームを提供しています。MMMとは、広告やマーケティング施策の効果を定量的に測定し、最適な予算配分を導き出す分析手法です。 NeX-Ray マーケティングミックスモデリングアカウント連携をするだけで、SNSや広告などの様々な媒体を一元管理することができますNeX-Ray マーケティングミックスモデリング BtoB SaaSビジネスを展開する中で、直面した大きな課題の一つが、ランディングページ(LP)の制作でした。 MMMというソリューションは、業界や企業規模、抱えている課題によって訴求ポイントが大きく異なります。例えば、小売業界では「店舗売上への貢献度分析」が重要ですが、メーカーでは「ブランド投資の最適化」が関心事です。また、マーケティング責任者とデータアナリストでは、求める情報の粒度も異なります。 こうした多様なニーズに応えるため、ターゲット別、業界別、課題別に最適化されたLPを用意する必要がありました。しかし、従来の制作フローでは、1本のLPに数日から1週間かかり、外注すれば1本

By 与謝秀作