ROAS計算式まとめ|広告運用で必須の指標と具体例

ROAS計算式まとめ|広告運用で必須の指標と具体例

ROASの計算式と広告運用での活用法

ROAS(Return On Advertising Spend)は、広告費に対してどれだけの売上が得られたかを測るための重要な指標です。広告運用の効果を正確に把握し、より効果的な戦略を立てるために不可欠なものです。

この記事では、ROASの計算式から、具体的な活用方法、そしてROASを改善するためのヒントまで、詳しく解説します。

ROASの計算方法

ROASは、「広告の売上」を「広告費用」で割って、100をかけることで求められます。これは、投じた広告費1円あたり、何円の売上が発生したかを示す指標です。

計算例

例1:

  • 広告費用:50万円
  • 広告経由の売上:200万円

ROAS=500,000円2,000,000円​×100=400%

この場合、広告費1円あたり4円の売上があったことを示しています。

例2:

  • 広告費用:10万円
  • 広告経由の売上:8万円

ROAS=80,000円 / 100,000円​×100=80%

この場合、広告費1円あたり0.8円の売上となり、広告費用が売上を上回っているため、赤字になっていることがわかります。


ROASの目安

ROASの目標値は、業界や商材、事業の構造によって大きく異なります。しかし、少なくとも100%以上を維持することが重要です。100%を下回る場合は、広告費用が売上を上回っており、広告運用が赤字になっていることを意味します。

ROASを適切に判断するには、粗利率を考慮に入れる必要があります。

粗利率を考慮したROASの考え方

たとえば、粗利率が50%の商品の場合、広告費用の回収にはROAS200%が必要です。

粗利=売上×粗利率

  • 売上100万円、粗利率50% → 粗利50万円
  • 広告費50万円

この場合、売上100万円に対して広告費50万円なので、ROASは200%です。売上から粗利を計算すると50万円となり、広告費と同じ額になります。つまり、この時点で利益はゼロです。

この計算から、ROASが200%以上でないと、広告で利益が出ていないことがわかります。

広告費を支払っても利益を確保するためには、「目標ROAS」を設定することが重要です。

目標ROAS=1 / 粗利率×100

この計算式から、粗利率50%の場合は目標ROASが200%以上、粗利率20%の場合は目標ROASが500%以上となります。


ROASとROI、CPAの違い

広告効果を測定する指標には、ROASの他にもROICPAがあります。これらの違いを理解することが重要です。

指標意味計算式主な用途
ROAS広告費に対する売上高
広告費用の投資対効果
ROI投資費用に対する利益
広告による利益の測定
CPA顧客獲得単価
顧客1人を獲得するためのコスト
  • ROASは「売上」を重視しており、広告が売上にどれだけ貢献したかを見ます。
  • ROIは「利益」を重視しており、広告による最終的な利益を測ります。
  • CPAは「獲得単価」を重視しており、顧客1人を獲得するためにかかった費用を測ります。

ビジネスの目的や状況に応じて、これらの指標を使い分けることが重要です。


ROASを改善するためのヒント

ROASを改善するためには、「広告経由の売上を上げる」か「広告費用を下げる」のいずれか、または両方を実行する必要があります。

売上を上げるための施策

  1. ターゲットの見直し:
    • より購買意欲の高いユーザー層に広告を配信することで、コンバージョン率を高めます。
    • ペルソナ(理想の顧客像)を明確にし、広告のクリエイティブやメッセージを最適化します。
  2. 広告クリエイティブの改善:
    • ユーザーの興味を引く魅力的な画像や動画、目を引くキャッチコピーを作成します。
    • 複数のクリエイティブをテスト(A/Bテスト)し、最も効果の高いものを特定します。
  3. ランディングページの改善:
    • 広告とランディングページの内容を一致させ、ユーザーの期待を裏切らないようにします。
    • 読み込み速度を改善し、購入までの導線をスムーズにします。

広告費用を下げるための施策

  1. キーワードの選定と除外設定:
    • 検索広告の場合、関連性の低いキーワードや競合性の高いキーワードを避け、効率の良いキーワードに絞り込みます。
    • 意図しない検索キーワードでの表示を防ぐため、除外キーワードを適切に設定します。
  2. 入札単価の調整:
    • 広告プラットフォームの自動入札機能を活用したり、手動で入札単価を調整したりして、費用対効果の高いクリックやコンバージョンを獲得します。
  3. 無駄な広告の停止:
    • パフォーマンスの低い広告や広告グループを特定し、停止または改善します。
    • 定期的に広告レポートを分析し、改善の機会を見つけます。

ROASを継続的に改善するためには、これらの施策を繰り返し実行し、PDCAサイクルを回すことが不可欠です。


まとめ

ROASは、広告費が売上にどれだけ貢献したかを測る重要な指標であり、広告運用の成功を左右する羅針盤のようなものです。

ROAS = 広告経由の売上 / 広告費用 × 100

この計算式を理解し、ビジネスの粗利率を考慮した目標ROASを設定することで、より効果的な広告運用が可能になります。この記事で紹介したROAS改善のためのヒントを参考に、日々の広告運用に役立ててみてください。

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